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株主総会の進め方や開催前の事前準備を解説!滞りなく運営するポイントとは?

株主総会は、企業の重要事項を決定し、株主とのコミュニケーションを図る上で不可欠な場です。しかし、その準備や当日の運営には多岐にわたる専門知識と細やかな配慮が求められます。

そのため、「何から手をつければ良いのか」「スムーズに進行させるにはどうすれば良いのか」と悩まれる方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、株主総会を開催するまでの事前準備や、総会当日の進め方などを詳しく解説します。株主総会の運営を成功させるポイントも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

株主総会の目的と重要性について

株主総会は、会社の最高意思決定機関であり、株主が会社の重要事項を承認・決定し、経営陣を監督する場です。会社の重要事項を承認・決定することや、株主が経営陣を監督することを目的に、株主総会が開催されます。

これにより、企業の透明性とガバナンスが保たれ、株主と会社間の信頼関係を構築する上で極めて重要な役割を担います。

しかし、その開催には多くの課題が伴います。まず、法務・経理・総務など多岐にわたる専門知識が求められ、議案の検討から招集通知の作成、当日の運営まで、煩雑かつ膨大な事前準備が必要です。

加えて、株主からの質疑応答への適切な対応や、想定外の事態への迅速な判断が求められるため、スムーズな進行とトラブル回避が大きな課題となります。これらの課題を乗り越え、円滑な総会運営を実現することが、企業の信頼性向上に直結します。

株主総会の種類

株主総会には、「定時株主総会」と「臨時株主総会」の2種類があります。それぞれに関する詳しい情報を、以下で解説します。

定時株主総会

定時株主総会は、毎事業年度の終了後、一定の時期に招集することが会社法で義務付けられている株主総会です。これは年に一度、必ず開催されます。

具体的な開催時期は会社によって異なりますが、多くの企業は事業年度の終了から3ヶ月以内に開催しています。特に、日本企業は3月を決算期とする会社が多いため、6月頃に定時株主総会が集中する傾向にあります。

定時株主総会では、主に以下のような事項が議題となります。

  • 前事業年度の事業報告
  • 計算書類(貸借対照表、損益計算書など)の承認
  • 剰余金の処分(配当など)の決定
  • 役員(取締役、監査役など)の選任・解任

臨時株主総会

臨時株主総会は、定時株主総会とは異なり、会社にとって必要が生じた場合に、いつでも招集することができる株主総会です。開催時期に明確な決まりはなく、特定の重要な事項を決定する必要が生じた際に開催されます。

臨時株主総会で議題となるのは、主に緊急性の高い重要な事項です。例えば、以下のようなケースで招集されます。

  • 大規模な組織再編(合併、会社分割など)の承認
  • 定款の変更(定款に定める重要な事項を変更する場合)
  • 多額の資金調達(新たな株式発行など)の承認
  • 突発的な役員の解任・選任

株主総会の事前準備の内容と流れ

株主総会をスムーズに運営するためには、開催するまでの事前準備が非常に重要です。開催までの事前準備は、以下のような内容と流れで進めていきます。

  1. 開催日や会場の決定
  2. 議題検討とプログラム策定
  3. 株主への招集通知を発送
  4. 進行台本・マニュアルの作成
  5. 機材・備品の手配
  6. リハーサル実施

1.開催日や会場の決定

株主総会の準備は、まず開催日と会場の決定から始まります。定時株主総会であれば、事業年度終了後3ヶ月以内という期限を意識し、会社のスケジュールや役員の都合、他のイベントとの重複を避けて最適な日程を選びます。

会場については、参加予定人数や開催形式(対面、オンライン、ハイブリッドなど)を考慮し、適切な広さ、アクセス、設備が整っている場所を選定します。特に多くの株主が参加する大規模な総会では、交通の便が良い都心部や、株主の分散を避けるため本社周辺の会場が選ばれることが多いです。

開催日や会場を早期に決定することで、他の準備もスムーズに進められます。

2.議題検討とプログラム策定

開催日と会場が決まったら、総会で取り扱う議題の検討とプログラムの策定を進めます。定時株主総会であれば、事業報告、計算書類の承認、剰余金の配当、役員の選任・解任などが主な議題となるでしょう。

これらの議題は、事前に取締役会で十分に審議・決議され、その内容に基づいて具体的な議案を作成します。また、総会当日の時間配分を考慮し、開会から閉会までの流れを盛り込んだプログラムを策定しましょう。

株主からの質疑応答の時間や、議案ごとの審議時間を適切に割り振ることで、スムーズかつ効率的な議事進行を目指します。

3.株主への招集通知を発送

総会の開催が決定し、議題が固まったら、株主へ招集通知を発送します。招集通知は、会社法で定められた期限(原則として総会日の2週間前)までに株主全員に到達するよう送付しなければなりません。

通知には、開催日時、場所、会議の目的事項(各議案の内容)、株主の議決権行使に関する事項などを正確に記載します。加えて、事業報告書、計算書類、監査報告書、議案の参考書類といった添付書類も漏れなく同封しましょう。

記載内容に不備があると、総会の決議に影響を及ぼす可能性があるため、法務部門や顧問弁護士と連携し、細心の注意を払って作成・発送します。

4.進行台本・マニュアルの作成

円滑な総会運営のためには、進行台本とマニュアルの作成が不可欠です。進行台本(議事進行シナリオ)は、議長が読み上げる開会宣言から、各議案の説明、質疑応答、採決、閉会宣言まで、総会の流れを時間軸に沿って詳細に記したものです。

株主からの質問に備えて、想定される質問と回答をまとめた「想定問答集」も作成しましょう。また、受付、案内、質疑応答時のマイク係、採決時の集計係など、各スタッフの役割と具体的な業務手順を明記した「運営マニュアル」も準備します。

これにより、誰がどのタイミングで何をすべきかが明確になり、当日の混乱を防ぎます。

5.機材・備品の手配

株主総会の円滑な運営を支えるため、必要な機材や備品の手配も重要な準備です。会場の規模や形式によって必要な備品は異なりますが、一般的には以下のような機材や備品を手配する必要があります。

  • 音響設備(マイク、スピーカー)
  • 映像機器(スクリーン、プロジェクター、ディスプレイ)
  • 照明
  • インターネット回線
  • PC
  • 受付名簿
  • 筆記用具
  • 案内板
  • 株主用の資料
  • 手土産

上記の他にも、オンラインやハイブリッド形式で開催する場合は、配信用のカメラや三脚、エンコーダーなど、ライブ配信に必要な機材も忘れず準備しておきましょう。

6.リハーサル実施

総会本番を成功させるためには、リハーサルの実施が欠かせません。作成した進行台本やマニュアルに基づき、議長、役員、各運営スタッフが実際の会場で本番さながらに動いてみましょう。

特に、議事進行のタイミング、質疑応答の際の動線、機材の操作、採決時の集計方法などを重点的に確認しましょう。オンラインやハイブリッド形式の場合は、配信システムや通信環境のテストも入念に行い、音声や映像に問題がないか、株主側からのアクセスがスムーズに行えるかを確認しておくことが重要です。

リハーサルを通じて、潜在的な課題や改善点を発見し、本番までに修正することで、よりスムーズで質の高い総会運営を実現できます。

株主総会当日の進め方

続いて、株主総会当日の進め方について解説します。

  1. 会場設営と機材チェック
  2. 最終リハーサルの実施
  3. 受付
  4. 議事進行
  5. 株主の撤収と片付け
  6. 議事録と決議通知書の作成

1.会場設営と機材チェック

総会当日は、早めに会場入りして最終的な設営と機材チェックを行いましょう。事前に決めたレイアウト図に基づき、受付、議長席、役員席、株主席などが適切に配置されているかを確認します。

音響設備、映像設備、照明、インターネット環境などが正しく動作するか、通信状態は安定しているかなど、本番を想定して入念に確認します。オンラインやハイブリッド形式の場合は、配信システムやカメラの動作チェック、バックアップ体制の確認も不可欠です。

株主を迎える準備として、会場の清掃や案内表示の設置もこの段階で完了させます。

2.最終リハーサルの実施

株主総会の開場前に、主要な関係者と運営スタッフが参加して最終リハーサルを行うことが重要です。作成済みの進行台本に基づき、議長の開会宣言から議案説明、質疑応答、採決、閉会宣言までの一連の流れを実践します。

特に、役員の登壇・降壇のタイミング、マイクの受け渡し、映像切り替え、質疑応答時の動線などを細かく確認します。想定問答集を用いた質疑応答の練習も重要です。

これにより、各担当者の動きを最終確認し、連携の課題や機材の不備がないかを最終的に洗い出し、修正を加えることで、本番での滞りない進行を目指します。

3.受付

開場時刻になると、株主の受付を開始します。受付スタッフは、株主名簿や本人確認書類に基づき、来場した株主の本人確認と議決権数の確認を行います。

議決権行使書を持参した株主からはこれを受け取り、事前に書面やオンラインで議決権を行使している株主の確認も行いましょう。同時に、総会資料や配布物、もしあれば手土産などを手渡します。

スムーズな受付は、株主総会の第一印象を左右します。混雑が予想される場合は、受付ブースを増やす、案内スタッフを配置するなど、株主がストレスなく入場できるよう工夫することが大切です。

4.議事進行

いよいよ株主総会の核となる、議事進行です。議長は開会を宣言し、議事進行シナリオに沿って、各議案の説明、監査報告、質疑応答、採決を滞りなく進めます。

株主からの質疑に対しては、公平性を保ちつつ、的確かつ簡潔に回答します。想定外の質問や動議が出た場合にも、議長は冷静に対応し、議事運営のルールに従って適切に処理することを意識しましょう。

採決では、賛否の集計を正確に行い、結果を明確に報告します。株主の集中力を保ち、効率的な総会運営を実現するためには、設定したプログラムに沿って進行して、時間管理を徹底することが重要です。

5.株主の撤収と片付け

全ての議案が承認され、議長が閉会を宣言した後、株主が安全かつスムーズに退場できるよう誘導します。出口の案内を明確にし、混雑を避けるための導線を確保しましょう。

株主が退場した後は、会場の片付け作業に移ります。使用した機材の撤収、会場内の清掃、忘れ物の確認と保管などを手際よく行います。

個人情報を含む資料や重要書類の管理には細心の注意を払い、情報漏洩がないよう適切に処理しなければなりません。次のイベントや利用に支障が出ないよう、会場を元の状態に戻すことが求められます。

6.議事録と決議通知書の作成

株主総会終了後は、速やかに議事録を作成しましょう。議事録には、開催日時、場所、出席役員、議案の内容、議事の経過、議決の結果などを詳細かつ正確に記録しなければなりません。

会社法により、議事録の作成と一定期間の保存が義務付けられており、株主からの閲覧請求にも対応できるよう整える必要があります。また、株主総会で決議された内容を株主へ知らせるための「決議通知書」も作成し、必要に応じて発送しましょう。

これらの書類は、企業の意思決定の証拠となる重要な記録であり、今後の企業運営や法務上の手続きにおいて不可欠なものとなります。

株主総会の運営を成功させるポイント

株主総会の運営を成功させるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

  • 余裕を持ったスケジュールを立てる
  • 株主への対応を優先する
  • ハイブリッド開催も検討する
  • イベント運営会社にサポートを依頼する

余裕を持ったスケジュールを立てる

株主総会の準備は多岐にわたるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが極めて重要です。招集通知の発送期限から逆算して、議案の検討・決定、関連書類の作成、印刷、発送準備、会場やスタッフの手配、リハーサルなど、各工程に十分な期間を割り当てましょう。

特に、関係部署との連携や承認プロセスには想定以上に時間がかかることがあります。ギリギリのスケジュールでは、予期せぬトラブル発生時に対応が間に合わず、焦りやミスに繋がります。

早期に全体像を把握し、各タスクにバッファ期間を設けることで、準備段階での焦りをなくし、質の高い総会運営に繋げることができます。

株主への対応を優先する

株主総会は、株主にとって会社の経営に直接関与し、疑問を解消する貴重な機会です。そのため、運営を成功させるためには株主への対応を最優先にするという意識が重要です。

総会当日は、受付での迅速かつ丁寧な対応、座席へのスムーズな案内、質疑応答における公平で分かりやすい説明が求められます。株主からの質問に対しては、たとえ想定外の内容であっても、誠実かつ簡潔に答える姿勢が重要です。

また、総会終了後も、議事録の公開や決議通知の発送を迅速に行うことで、株主との良好な関係を維持できます。株主の視点に立ったきめ細やかな対応が、総会全体の印象を良くし、企業の信頼向上に繋がります。

ハイブリッド開催も検討する

近年、株主総会の形式としてハイブリッド開催を検討することも、有効な選択肢となっています。ハイブリッド開催とは、従来の対面形式とオンライン形式を組み合わせたものです。

物理的な制約で会場に来られない株主もオンラインで参加できるため、議決権行使の機会を広げ、株主からのエンゲージメントの向上に繋がります。また、会場の収容人数制限を気にせず多くの株主に参加を促せるため、大規模な総会での混雑緩和にも寄与します。

ただし、技術的な準備やセキュリティ面での配慮が必要です。適切なシステムを選定し、事前にテストを重ねることで、対面とオンラインの双方の利点を活かした効率的かつ参加しやすい総会を実現できます。

イベント運営会社にサポートを依頼する

株主総会は、専門的な知識と豊富な経験が求められる複雑なイベントです。自社内でのリソースが限られている場合や、より質の高い運営を目指すのであれば、イベント運営会社にサポートを依頼することも有効なポイントです。

イベント運営会社は、会場手配から設営、機材準備、運営スタッフの手配・配置、進行管理、緊急対応など、総会運営に関わるあらゆる業務をトータルでサポートしてくれます。特に、オンライン配信やハイブリッド開催における複雑な技術的要件への対応、トラブル時の迅速なリカバリーなどは、専門知識を持つプロフェッショナルに任せることをおすすめします。

イベント運営会社にサポートを依頼することで、担当部署の負担を大幅に軽減し、株主総会を円滑かつ確実に成功に導くことができます。

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エヌショーケース株式会社は、株主総会をはじめとした様々な企業イベントの企画・運営・設営などをトータルサポートしています。創業55年を超える歴史の中で培ってきた豊富なノウハウと技術を活かし、幅広い対応力で貴社のイベントを成功に導きます。

イベント企画運営サービス

周到な準備で株主総会をスムーズに運営しよう

株主総会は、単なる形式的な手続きではありません。会社の重要事項を決定し、株主との信頼関係を深めるための重要なイベントです。本記事で解説したように、株主総会の成功には、法令遵守はもちろんのこと、開催日や会場の選定、議題検討、招集通知の発送といった事前準備が何よりも重要です。

また、進行台本の作成、機材の手配、そして入念なリハーサルを通じて、当日を滞りなく進めるための地盤を固めましょう。当日は、株主への丁寧な対応を最優先し、円滑な議事進行を心がけることが、総会の印象を大きく左右します。

もし、これらの準備や運営に不安を感じる場合は、イベント運営のプロである私たちのような専門会社のサポートをご検討ください。エヌショーケース株式会社は、豊富な経験とノウハウで、貴社の株主総会がスムーズかつ成功裏に終わるよう、強力に支援いたします。

ご相談・お見積り

この記事の執筆者

代表取締役

三溝 拓

名古屋ショーケース(現:エヌショーケース)営業開発部部長を経て、代表取締役に就任。これまで多くの展示会や企業イベント、式典などを成功に導き、常にお客様から求め続けられる価値を提供するために尽力している。

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