展示会は、自社の商品やサービスを効果的にアピールすることができるため、新規顧客の獲得や販路拡大に繋がる貴重なビジネスチャンスです。特に普段からプロモーションにリソースを割けない事業者にとっては、数少ない宣伝活動の場です。
しかし、展示会に出展するには様々な費用がかかるため、なかなかハードルが高いと感じる方も多いでしょう。そこで、検討していただきたいのが、補助金や助成金の活用です。
今回は、展示会の出展に活用できる補助金・助成金を紹介します。補助金・助成金の探し方や注意点についても紹介しているので、ぜひ展示会出展の際にお役立てください。
展示会で活用できる補助金・助成金
展示会に活用できる補助金・助成金は、様々なものがあります。全ては紹介しきれないため、以下で主要な補助金・助成金を紹介します。
- 小規模事業者持続化補助金|全国商工会連合
- ものづくり補助金|全国中小企業団体中央会
- 事業再構築補助金|中小企業庁
- 共同・協業販路開拓支援補助金|全国商工会連合
- 展示会出展助成事業|東京都中小企業振興公社
- 共同振興事業(見本市・展示会事業)|愛知県名古屋市
- 大規模展示商談会活用事業(出展支援事業)|大阪府庁
小規模事業者持続化補助金|全国商工会連合
小規模事業者補助金とは、小規模事業者の持続的な経営に向けた販路拡大や業務効率化を支援するための補助金です。小規模事業者が行う販路開拓の取り組みの中で、展示会の出展費用や、それに関連する広告費も補助の対象になります。
小規模事業者として認められるのは、従業員数が5名以下の商業やサービス業(宿泊業や娯楽業は20名以下)、従業員数が20名以下の製造業などの事業者です。
- 補助率:対象経費の2/3
- 上限額:50万円(条件によっては100万円になる場合有り)
小規模事業者持続化補助金
ものづくり補助金|全国中小企業団体中央会
ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業者の新たな設備投資や販路開拓を支援するための補助金です。正式名称は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」といいます。
申請して採択された際は、最大で3,000万円の補助を受けることが可能ですが、展示会出展に活用できるのは、グローバル枠のうち海外市場開拓に関する事業のみとされています。
- 補助率:【中小企業】対象経費の1/2【小規模事業者】対象経費の2/3
- 上限額:3,000万円(条件によっては最大4,000万円になる場合有り)
ものづくり補助金総合サイト
事業再構築補助金|中小企業庁
事業再構築補助金とは、新分野展開、事業・業種転換などの思い切った事業再構築に意欲がある中小企業等の挑戦を支援する補助金です。補助の対象となる事業者は、売上が減少していたり、事業再構築に取り組んだりすることが要件として定められています。
事業拡大に繋がる経費として、宣伝・販売促進費という名目で展示会への出展費用が補助の対象になります。(サプライチェーン強靭化枠を除く)補助率と上限金額は、申請する類型によって異なるため、詳しくは公式サイトをご覧ください。
事業再構築補助金
共同・協業販路開拓支援補助金|全国商工会連合
共同・協業販路開拓支援補助金とは、中小企業が共同で販路開拓や新規市場への進出を目指すための取り組みを支援する補助金です。この補助金は、複数の中小企業が協力し、新たな販路や顧客基盤を開拓するためのプロジェクトに対して、資金の一部を補助するものです。
この補助金の中で、展示会出展にかかる費用は、販路開拓の一環として認められ、対象となることが多いです。具体的には、展示会の出展料、ブース装飾、PR活動、デモンストレーションに必要な備品などが補助の対象になります。
共同・協業販路開拓支援補助金
展示会出展助成事業|東京都中小企業振興公社
展示会出展助成事業とは、東京都と東京都中小企業振興公社が運営する事業で、セミナーや商談会、展示会出展費用等の費用を一部を助成し、販路開拓を支援するものです。東京都が運営に関わっている事業ですが、都内に本社を持つ企業だけでなく、支店を持つ企業でも活用することができます。(実質的な事業活動を1年以上行っているなどの要件有り)
こちらは助成事業なので、支給要件に該当する事業者であれば基本的に全ての企業が支援を受けることができます。しかし、BtoB向けの展示会は助成の対象となりますが、BtoC向けの展示会は助成対象になりません。
令和6年度 展示会出展助成事業
共同振興事業(見本市・展示会事業)|愛知県名古屋市
共同振興事業(見本市・展示会事業)とは、愛知県名古屋市が運営する、中小企業団体が実施する見本市・展示会事業に対して助成する事業です。愛知県名古屋市内に本店または本社を持つ商工業、サービス業を運営する企業が助成の対象になります。
助成の要件としては、名古屋市内の会場で開催される展示会で、即売を目的としないものに限ります。
共同振興事業(見本市・展示会事業)
大規模展示商談会活用事業(出展支援事業)|大阪府
大規模展示商談会活用事業とは、大阪府が運営する事業で、販路開拓に必要な技術や知識を得るための講習会、展示会出展などの経費を一部補助するものです。補助の対象となる事業者は、大阪府内に本店または本社を持つ中小企業で、製造業またはソフトウェア業に限られます。
補助の対象となる展示会は一部に限られ、年度ごとに一覧が発表されます。
大規模展示商談会活用事業(出展支援事業)
展示会に活用できる補助金・助成金の探し方
前章で紹介した以外にも、自治体や関連団体が独自で運営している補助金・助成金があります。他にも活用できる補助金・助成金がないか探す際は、以下の方法で調べてみましょう。
- 「J-Net21」で検索する
- 自治体のホームページを確認する
- 最寄りの商工会議所に相談する
「J-Net21」で検索する
「J-Net21」とは、中小企業のビジネスを支援するポータルサイトで、最新の補助金・助成金の情報や、展示会情報、経営ノウハウなどを掲載しています。「支援情報ヘッドライン」ページにて、「補助金・助成金・融資」に関する情報を、各自治体が運営しているものまで検索することが可能です。
地域や分野、フリーワードなどで補助金・助成金に関する情報を検索できるため、自社で活用できそうなものを手軽に見つけることができるでしょう。
J-Net21 支援情報ヘッドライン
自治体のホームページを確認する
本社や事業所を持つ都道府県、市町村のホームページで補助金・助成金の情報を確認することも有効な手段です。ホームページ内の検索機能を使用すれば、素早く補助金・助成金に関する案内のページに辿り着くことができるでしょう。
詳細な情報が知りたい場合は、各自治体の担当部署に問い合わせることで相談に乗ってもらうことも可能です。
最寄りの商工会議所に相談する
インターネットを活用して探すこと以外にも、最寄りの商工会議所で相談することで補助金・助成金を探すことができます。商工会議所は、地域の商業や工業の発展を目的として、あらゆる経営支援活動を実施しています。
商工会議所は活動の一環として、様々な補助金・助成金の活用をサポートする相談窓口を設けています。申請の仕方や注意点などをアドバイスしてくれることもあるので、誰かに相談しながら手続きを進めたいという方は商工会議所に相談してみましょう。
補助金・助成金の補助を受けるまでの流れ
補助金・助成金を活用する際は、それぞれ定められた流れに沿って手続きを進める必要がありますが、大まかな流れは以下の通りです。
- 申請する補助金・助成金を探す
- 申請書と必要書類を提出する
- 運営団体からの審査を受ける
- 採択される
- 展示会に出展する
- 補助金請求書を請求する
一般的には上記のような流れで手続きを進め、最終的に実際に使用した経費の明細を添付した請求書を送付して、認可されれば補助金・助成金を受けとることができます。繰り返しになりますが、詳細な流れは各補助金・助成金ごとにそれぞれ定められているので、活用する補助金・助成金の要項をしっかり確認して下さい。
補助金・助成金を活用する際の注意点
補助金・助成金を活用する際は、以下の点に注意しましょう。
- 支給対象に該当するか確認する
- 採択=支給確定ではない
- 展示会出展後に支給される
支給対象に該当するか確認する
補助金・助成金には、支給対象の事業者に関する要件、経費の要件、経費の使用期間など様々な要件が細かく定められています。さらに、補助金・助成金の中でも経費の使い道・目的によって要件が異なるため、とても複雑な要件をしっかり理解しなければなりません。
申請する際は要件を全て満たしていることを証明しなければならないので、企業の基本情報から財務情報、経営計画の提出を求められることもあり、手続きにも手間がかかります。自力で進めることが難しい場合は、補助金の専門家のサポートを受けながら手続きを進めることも検討しましょう。
採択=支給確定ではない
補助金・助成金は、申請して採択されなければ支援を受けることができません。しかし、採択されたからといって必ず補助金・助成金が支給されるとは限りません。
申請した時点で想定していた経費と違うことに使ってしまったり、支給を受けるまでの期間で支給要件を満たせなくなったりした場合、支給の対象から外れてしまうことがあります。補助金・助成金が支給されるまで継続して要件を満たしていなければならないので、注意しましょう。
展示会出展後に支給される
補助金・助成金は実際に使用した経費の一部を支援するための制度です。そのため、実際に展示会に出展し、使用した経費の項目と金額が明確に記載された明細を提出して認められてから、ようやく補助金・助成金を受け取ることができます。
そのため、展示会出展にかかる費用は、全額自社で準備しなければなりません。補助金・助成金の金額を元手を頼りにして展示会に出展しようとすると、費用を捻出できないという事態になりかねないので、注意してください。
補助金や助成金を活用して展示会に出展しよう
展示会出展で使用できる補助金・助成金を紹介しました。展示会の出展をサポートする補助金・助成金は様々なものがあり、それぞれ要件が異なるので、自社が支給対象になるかしっかり確認してから申請しましょう。
一度は全額を自社で負担する必要がありますが、一部支援してもらえることで費用面のハードルを下げられるので、ぜひ活用を検討してみてください。補助金・助成金は国が運営しているものだけでなく、各自治体が提供しているものもあるので、今回ご紹介した方法を使って、活用できそうなものを探してみましょう。