近年、新たな地域活性化の手法としてeスポーツが大きな注目を集めています。その高い集客力や情報発信力は、交流人口の拡大や地域経済への貢献が期待される一方、前例が豊富にあるわけではないため、成功させるためには様々な工夫が必要です。
本記事では、eスポーツイベントを通じて地域活性化を実現した全国の先進的な事例を具体的に紹介します。今後、eスポーツイベントを開催して地域活性化を図りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
近年、新たな地域活性化の手法としてeスポーツが大きな注目を集めています。その高い集客力や情報発信力は、交流人口の拡大や地域経済への貢献が期待される一方、前例が豊富にあるわけではないため、成功させるためには様々な工夫が必要です。
本記事では、eスポーツイベントを通じて地域活性化を実現した全国の先進的な事例を具体的に紹介します。今後、eスポーツイベントを開催して地域活性化を図りたいという方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
eスポーツイベントによる地域活性化とは、eスポーツを「きっかけ」として、地域が抱える人口減少や経済の停滞といった課題を解決し、地域全体を元気にすることです。地域で開催されるお祭りやイベントが街を盛り上げるのと同じように、eスポーツイベントを起爆剤として「ヒト・モノ・カネ・情報」の新しい流れを生み出すことができます。
eスポーツは成長市場として注目されており、国内でも数万人規模が参加するイベントが開催されるなど、盛り上がりを見せています。
特に他のイベントと異なるのは、オンラインでの高い情報発信力です。イベントの様子はライブ配信され、現地の熱気や地域の魅力を伝えられるため、新たな観光誘客や「関係人口」の創出につながります。
この波及効果の大きさが、新たな地域活性化の切り札として期待される理由です。
eスポーツイベントは、地域活性化の新たな糸口として近年注目を集めています。では、なぜeスポーツイベントが地域活性化に最適なのでしょうか。
主な理由としては、以下の3つが挙げられます。
eスポーツの最大の強みは、インターネット配信との親和性による卓越した情報発信力です。イベントの様子はYouTubeなどのプラットフォームを通じて国内外にリアルタイムで配信され、数万人、時には数十万人規模の視聴者にリーチします。
これにより、試合の合間に地域の観光名所や特産品を紹介する映像を流すなど、従来のメディアよりもはるかに低コストで効果的なシティプロモーションが可能です。特に、行政の広報が届きにくい若年層に直接アプローチできる点は、他のイベントにはない大きな利点です。
eスポーツという先進的なカルチャーは、「若者が集まる活気ある街」というポジティブなブランドイメージを構築し、地域のイメージを刷新します。この訴求力は、交流人口の拡大だけでなく、未来の移住・定住を考える若者への強力なアピールとなります。
eスポーツイベントは、主に屋内施設で開催されるため、天候による中止のリスクが極めて低く、計画的かつ安定した集客が見込めるという大きなメリットがあります。大規模なアリーナだけでなく、既存の市民会館や商店街の空き店舗などを活用できるため、初期投資を抑えてイベントを開催することが可能です。
また、選手や熱心なファンは、お気に入りのチームや選手を応援するという明確な目的を持って遠方から訪れる傾向が強いです。そのため、滞在中の宿泊、飲食、交通、グッズ購入などへの消費意欲が高いという特徴があります。
このような「コト消費」は、地域経済に直接的な恩恵をもたらします。開催のしやすさと、確実性の高い経済的インパクトの組み合わせは、即効性のある地域活性化策として非常に優れています。
eスポーツが持つ大きな魅力の一つは、年齢や性別といった垣根を越えて、多様な人々が交流するコミュニティを形成できる点にあります。
フィジカルスポーツと異なり、年齢や性別、身体能力の差が勝敗に直結しにくいため、誰もが同じ土俵で対等に楽しむことが可能です。これにより、普段は接点の少ない高齢者と若者が共通の話題で盛り上がったり、地域の子供たちが安心して集まれる新たな「居場所」が生まれたりします。
こうしたイベントやコミュニティ活動を通じて生まれる新しい交流は、地域への愛着を育み、世代間の孤立を防ぐなど、社会的なつながりを強める効果が期待できます。
日本国内における、eスポーツイベントによって地域活性化につながった好例を4つ紹介します。
2019年、国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の文化プログラムとして、全国初の都道府県対抗eスポーツ選手権を開催。国体という伝統的なスポーツの祭典とeスポーツを融合させたことで、幅広い世代にeスポーツの魅力を伝え、大きな注目を集めました。
具体的には、「eFootball ウイニングイレブン2020」「ぷよぷよeスポーツ」「グランツーリスモSPORT」の3タイトルが開催され、全国の予選を突破した代表選手が会場に集結し、優勝を争いました。会場には選手や観客など約2,500名が来場し、取材に訪れたプレス関係者も約130社となっており、非常に多くの注目を集めたことがわかります。
この成功を機に、茨城県はeスポーツを重要な産業と位置づけ、関連企業の誘致や人材育成にも力を入れるなど、持続的な地域振興の柱として活用しています。
富山県で2019年に開催されたToyama Gamers Day 2019/5G COLISEUMは、2日間で3,500人以上が集まったeスポーツイベントです。初開催の2016年は、予算5万円、参加者100人という小規模なイベントでしたが、その後、地元メディアとの協力により急成長を遂げました。
本イベントは「オール富山」にこだわり、音響・照明・会場設営などで10社以上の企業が関わりましたが、その全てが地元企業です。これにより、地方であっても大規模なイベントは作れるということを、全国に広く発信することにつながり、地方におけるeスポーツ振興の「先進モデル」と称されています。
愛知県豊川市にある豊川稲荷で、夏の夜に開催される光とアートの祭典「ヨルモウデ」の一環として、2023年に実施されたイベントです。このイベントの大きな特徴は、メタバースとリアルを連動させたことで、新たな観光誘致体験を提供したことです。
具体的には、デジタルアートによって華やかに演出された豊川稲荷のメタバース会場をゲームのマップとして制作し、「オンラインFORTNITE」の大会を開催しました。これにより、コアなeスポーツファンだけでなく、親子連れや若者グループなど、これまで寺院への関心が薄かった新たな客層を呼び込むことに成功しました。
このイベントは、既存の地域資源にeスポーツを掛け合わせることで、新たな交流人口を創出し、地域の魅力を発信した好例といえます。
HYOGO eスポーツフェスタin城崎温泉は、日本有数の温泉地である城崎温泉で開催されたイベントです。この事例の最大の成功ポイントは、eスポーツと温泉街という既存の強力な観光資源を巧みに融合させた点にあります。
伝統的な温泉街の風情とeスポーツの持つ現代的な魅力という、一見ミスマッチな組み合わせが大きな話題を生みました。参加者に新たな「滞在理由」を提供したことで、観光地としての価値をさらに高めた先進的な事例です。
eスポーツイベントを開催して、地域活性化につなげるためには、以下のポイントを意識しましょう。
eスポーツイベントを単体で開催するのではなく、その地域だけが持つ観光資源や文化(温泉、歴史的建造物、食、自然など)と巧みに掛け合わせることが重要です。例えば「eスポーツの後は温泉街を散策する」「お寺の境内で観戦する」といった、その場所でしか得られない特別な体験は、参加者にとって強力な魅力となります。
また、イベントを通じてこれまで地域の魅力を知らなかった人が認知するきっかけになり、その結果として、遠方からの来訪や宿泊を促すことが可能です。さらに、この独自性がSNSなどでの話題性を生み、地域のブランドイメージを大きく向上させます。
イベントを成功させるには、行政や主催者だけでなく、地域の商店街、宿泊施設、学校、住民といった人々を巻き込み、協力体制を築くことが欠かせません。企画段階から情報を共有し、地元飲食店と連携したコラボメニューを開発したり、学生に運営ボランティアとして参加してもらったりして、地域全体で盛り上げる工夫をしましょう。
そうすることで、地域全体に「自分たちのイベント」という当事者意識が生まれ、温かいおもてなしが実現し、経済効果が地域内で循環するようになります。
イベントを一過性の集客で終わらせないためには、参加者と継続的な関係を築く視点が不可欠です。イベント後もSNS等で次回案内や地域の魅力を発信し、参加者との接点を保ち続けます。
これにより、一度訪れた「交流人口」を、地域を応援してくれる「関係人口」へと育てることができます。この継続的なつながりこそが、将来的な再訪やオンラインでの特産品購入などを促し、持続可能な地域活性化を実現するのです。
本記事では、eスポーツを活用した地域活性化の成功事例と、そのポイントを解説しました。成功の鍵は、単にイベントを開催するだけでなく、その地域ならではの魅力とeスポーツを融合させ、独自の体験価値を創出することです。
また、地域住民や企業を巻き込み、イベント後も参加者とのつながりを大切にすることも欠かせません。今回ご紹介した事例やポイントを参考にしてeスポーツイベントを企画し、新たな賑わいを生み出してみてはいかがでしょうか。
eスポーツイベントの企画、開催についてお悩みのことがありましたら、エヌショーケースまでお気軽にご相談ください。イベント企画運営のプロが、eスポーツイベントの企画段階から当日運営までワンストップでサポートします。
ご相談・お問い合わせはこちらこの記事の執筆者
代表取締役
三溝 拓
名古屋ショーケース(現:エヌショーケース)営業開発部部長を経て、代表取締役に就任。これまで多くの展示会や企業イベント、式典などを成功に導き、常にお客様から求め続けられる価値を提供するために尽力している。