展示会の出展でまず決まるのは、出展料と割り当てられる小間の大きさです。ところが、その広さで何がどこまでできるのかは、図面を引く段階になるまで見えてきません。小間数を決めたあとで「思っていたより置けない」と気づくケースは少なくありません。
ブースの成果は、与えられた間口と奥行をどう使い切るかで決まります。同じ面積でも、通路に面する辺の長さや奥行の取り方によって、来場者の目に触れる時間も、ブースの中で話せる人数も変わってきます。
本記事では、エヌショーケースが実際に手がけた展示会ブースの施工事例を、間口3mの小規模なブースから間口9m×奥行6mの大型ブースまで規模別に紹介します。あわせて、それぞれの規模で設計上どこを優先すべきかを、創業55年を超える展示会施工の実績を持つエヌショーケースの視点から解説します。
展示会ブースの規模は「間口」と「奥行」で考える
展示会の出展スペースは「小間(こま)」という単位で区切られています。小間の寸法は展示会ごとに主催者が定めているため、同じ1小間でも展示会が違えば実際の広さは変わります。申込前に募集要項で実寸を確認しておくことが、設計の前提になります。
そして、面積が同じでも形が違えば設計は別物になります。ブースを考えるときは、面積ではなく「間口」と「奥行」の2つの数字で捉えたほうが、判断を誤りません。
加えて、割り当てられた区画が通路に何面接しているかも確認しておきます。四方を他社のブースに囲まれた区画と、角地で二面が通路に開けている区画とでは、同じ面積でも来場者から見える範囲がまったく違います。区画の位置は小間割りの段階で決まるため、申込のタイミングも設計に影響します。
間口は、来場者の目に触れる時間を決める
通路を歩く来場者がひとつのブースを認識できるのは、ほんの数秒です。間口が広いほど視界に入っている時間が長くなり、足を止めてもらえる確率が上がります。間口3mと間口9mでは、同じ速度で歩いたときに見えている時間が3倍近く変わります。
間口が狭い場合は、その数秒で何を読み取ってもらうかを絞り込む必要があります。掲げる文言を増やすほど、結果的にどれも読まれなくなります。
奥行は、商談スペースを取れるかを左右する
奥行が2.7mか3mか、あるいは6mあるかで、ブースの中に来場者を入れられるかどうかが変わります。奥行の浅いブースは、通路側で立ち話をする前提の設計になります。奥行が確保できると、手前を展示、奥を商談というように役割を前後に分けたレイアウトが組めます。
奥行が浅いのに商談テーブルを置くと、通路から見える面が什器でふさがれ、来場者が入ってこられる場所がなくなります。奥行の数字は、什器の量を決める前に確認しておきたい情報です。
小間数は、当日の人員から逆算する
広いブースを取っても、対応できるスタッフがいなければ来場者を取りこぼします。常時ブースに立てる人数と、1人が同時に相手にできる来場者数から、必要な小間数を逆算する考え方が現実的です。
出展料は小間数に比例して増えますが、成果は必ずしも比例しません。人員と会期後のフォロー体制まで含めて、無理なく回せる規模を選ぶほうが、結果として1件あたりの獲得コストは下がります。小間数の決め方は別の記事で詳しく扱っています。
【間口3m×奥行2.7m】新日本印刷株式会社|第11回 ものづくりワールド 名古屋
新日本印刷株式会社様のブースは、ポートメッセなごやで2026年4月に開催された「第11回 ものづくりワールド 名古屋」への出展です。出展スペースは間口3,000mm×奥行2,700mm、面積にすると約8㎡でした。
この規模は、展示会でもっとも数の多い基本単位にあたります。使える壁面は実質1面から2面で、置ける什器の数は限られます。そのぶん、掲げるメッセージを1つに絞れているかどうかが成果をはっきり分けます。
製品を種類ごとに並べるより、誰のどんな課題を解決できるのかを通路から読み取れる状態にすることが優先されます。小規模ブースでは、情報を足すのではなく、削る判断のほうが難しくなります。
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【間口6m×奥行3m】GROB Japan株式会社|INTERMOLD2026
GROB Japan株式会社様のブースは、インテックス大阪で2026年4月に開催された「INTERMOLD2026(第37回金型加工技術展)」への出展です。出展スペースは間口6,000mm×奥行3,000mm、面積にすると18㎡でした。
間口が6mになると、正面を2つの役割に分けられるようになります。片側を足を止めてもらうための展示に、もう片側を説明と商談に充てる構成が取りやすい広さです。
金型や加工技術のように実機・実物を見せる出展では、現物を置く場所と人が立つ場所を分けて考えることが、当日の動線を安定させます。実物の重量やサイズによっては搬入経路の確認も必要になるため、設計と同時に会場条件を押さえておきます。
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【間口9m×奥行2.7m】湖北精工株式会社|第11回 ものづくりワールド 名古屋
湖北精工株式会社様のブースは、ポートメッセなごやで2026年4月に開催された「第11回 ものづくりワールド 名古屋」への出展です。出展スペースは間口9,000mm×奥行2,700mm、面積にすると約24㎡でした。
同じ展示会に出展した新日本印刷株式会社様のブースと比べると、面積は約3倍ですが奥行は同じです。間口だけが伸びた横長の形は、通路からの視認性が高い一方で、来場者をブースの中へ引き込む深さがありません。
この形状では、壁面を1枚の大きな面として扱い、離れた位置からでも読める文字サイズで情報を配置する設計が向きます。細かな説明を並べるより、遠くから伝わる要素と、近づいてから読む要素を階層で分けることが有効です。
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【間口9m×奥行6m】浅野撚糸株式会社|第99回東京インターナショナル・ギフトショー春2025
浅野撚糸株式会社様のブースは、東京ビッグサイトで2025年2月に開催された「第99回東京インターナショナル・ギフトショー春2025」への出展です。出展スペースは間口9,000mm×奥行6,000mm、面積にすると54㎡でした。
54㎡は、来場者がブースの中に滞在する前提で設計できる広さです。この規模になると、通路から見せる面と、中で時間をかけて見てもらう面を明確に分けられます。商品を手に取ってもらう導線も設けられます。
一方で、面積が広いぶん空白も目立ちます。什器の配置と照明の当て方で、どこを見てほしいのかを絞り込む作業が欠かせません。大型ブースほど、埋めることではなく、見せたいものに視線を集めることが設計の主眼になります。
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展示会ブースの企画・施工ならエヌショーケース
エヌショーケース株式会社は、創業55年を超える歴史のなかで、間口3mの小規模ブースから間口9mを超える大型ブースまで、さまざまな規模の出展をサポートしてきました。自社に生産設備を保有し、熟練した職人とスタッフが在籍しているため、企画・デザインから什器製作、施工、当日の運営までを一貫してお任せいただけます。
展示会のご相談・お見積り
展示会の施工実績
展示会場の外でつくる売り場|株式会社グッドスマイルカンパニー
株式会社グッドスマイルカンパニー様の「GOOD SMILE COMPANY POP UP SHOP in札幌パルコ」では、運営と施工管理を担当しました。2026年2月、札幌パルコでの実施です。
商業施設でのポップアップは、展示会場とは前提条件が変わります。搬入経路、設営できる時間帯、原状回復の範囲が施設ごとに決められているためです。展示会のように会期前日に一斉搬入できるとは限らず、営業時間外の短い枠で組み上げる場合もあります。
設計そのものと同じくらい、施設との調整と現場での施工管理が結果を左右します。会場が展示会場でなくても、什器製作から現場の管理までを同じ体制で進められることが、こうした案件では強みになります。
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事例から見える、規模ごとの設計の考え方
ここまで紹介した展示会ブースの4事例を、出展スペースと設計上の優先順位で並べると次のようになります。
規模が変わっても、決める順番は変わらない
広さが決まったら、まず「誰に、何を持ち帰ってほしいか」を1行で決めます。什器や装飾の検討はそのあとです。この順番が入れ替わると、見た目は整っているのに名刺が集まらないブースになります。
実際、事例として並べた4つのブースは面積が約8㎡から54㎡まで幅がありますが、設計の入口はいずれも同じでした。広さは、決めた狙いをどう実現するかの条件にすぎません。
図面の前に、会場の条件を確認する
同じ間口と奥行でも、会場の規定によってつくれるものは変わります。装飾物の高さ制限、隣接するブースとの間の壁の扱い、電源容量、搬入車両の乗り入れ可否といった条件は、展示会と会場ごとに定められています。
特に高さ制限は、遠くからの視認性を左右する要素です。デザインを詰めたあとで制限に気づくと、看板の位置から組み直すことになります。出展が決まった時点で出展者マニュアルを確認し、施工会社と条件を共有しておくと手戻りを防げます。
施工会社は、規模が近い実績を持っているかで選ぶ
同じ施工会社でも、小規模ブースを数多く手がけてきた会社と、大型ブースを主戦場にしてきた会社では、提案の引き出しが違います。問い合わせの段階で、自社の出展規模に近い施工実績があるかを確認しておくと、認識のずれが減ります。
あわせて、什器の製作をどこまで自社で行えるかも確認しておきたい点です。設計と製作と施工が別々の会社に分かれていると、当日の変更に対応できる範囲が狭くなります。施工会社の選び方は別の記事で整理しています。
展示会ブースの企画・施工に関するご相談はエヌショーケースへ
エヌショーケース株式会社は、創業55年を超える歴史のなかで、名古屋・東京・大阪を中心に全国の展示会ブースを手がけてきました。本記事で紹介したように、間口3mの1小間規模から間口9m×奥行6mの大型ブース、さらに商業施設でのポップアップまで、規模と会場条件に応じた設計と施工に対応しています。
自社に生産設備を保有し、熟練した職人とスタッフが在籍しているため、企画・デザインから什器製作、施工、当日の運営までを一気通貫でお任せいただけます。設計と製作を同じ体制で進められるぶん、会期直前の調整にも動きやすい体制です。
出展する展示会と小間数がすでに決まっている場合はもちろん、これから出展規模を検討する段階でもご相談いただけます。他社の施工事例をご覧いただきながら、自社の出展に必要な規模から一緒に考えます。
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